大阪早稲田倶楽部

「人を動かす! 男性社会における女性管理職のあり方」2023年11月11日 関西大学梅田キャンパスにて

2024年3月の理事会でご報告した通り、25年余にわたってご愛顧いただいたWフォーラムは、2023年度をもって閉幕させていただきます。Wフォーラムの最終回が23年11月11日、関西大学梅田キャンパスで開かれました。講師は、大阪府警初の女性警察署長、府警初の女性警視正として活躍し、23年3月に府警を退職された荒武泰子さんです。
荒武さんには、5年前にも女性校友限定のフォーラムで講演していただき、大変好評でした。そのうち男性校友、特に若い男性校友の方々にも、荒武さんのお話を聞いていただきたいと考えていたところ、Wフォーラム最終回でご登壇いただくことができました。
2人の息子さんを立派に育て上げながら、曾根崎署や天満署など都心部の警察署を束ねる第1方面本部長にまで上り詰められた荒武さんは、スゴ腕職業人です。講演では、警察組織を離れた今だからこそ話せるエピソードをたっぷりと語っていただきました。
荒武さんのように、たたき上げの女性警察官で警視正にまで昇任した人は、全国で4人だけ。この数字をみても警察組織が、いかに男性優位かがわかります。育児休業もなく、結婚や出産で退職する女性の同僚が多い中、子育てや家事をこなしながら、男性しかいない所轄署の刑事課や、本部で外国人犯罪の事件班長などを務めてこられました。
男性と同じ仕事をしても、女性ゆえに評価されない。男性の上司や同僚たちからの信じがたい冷たい対応……。そんな女性にとってアウェーな環境の下で戦ってこられました。男女雇用機会均等法施行前から、「男社会」を駆け抜け、女性の働く道を切り開いてこられた荒武さんの言葉には、働く多くの女性たちが共感できることが多々ありました。
印象に残ったのが、荒武さんの仕事に対するスタンスです。「志を高くもち、馬車馬のごとく懸命に働き、常にファイティングポーズ!」。難しい局面では素早い判断と「私が責任を取るから、行け!」とリーダーシップを発揮し、チームを鼓舞する勇気を持つこと。
女性が今よりもっと楽しく、しなやかに活躍できる社会に向けて、荒武さんは管理職の人たちにこんなアドバイスもしてくれました。「女性の部下には、とにかく、どんなことでもやらせてほしい。(女性の活躍は)上司がどれだけ女性を育てる気があるかで結果が出る。やらせてみて、まずかったらその時はじめて助ければいい」と。
ざっくばらんな講師のお人柄もあって、満席の会場は大いに盛り上がりました。
ご協力いただいた荒武さんに厚く感謝申し上げます。

豊島惠子(1977年 法)

⭐︎講師略歴☆
1985年関西大学卒 2018年春、大阪府警採用の女性警察官初の警察署長として此花署長に就任。その後、警視正に昇進し、浪速署長、第一方面本部長を歴任。23年春、退職。
現在は、公益財団法人暴力追放センター専務理事。浪速署長に。

 

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